あること、ないこと

備忘録。たまにつぶやきます。

気象予報士試験〜合格体験記〜

第55回気象予報士試験に合格しました!

 

★目指したきっかけ
「地球に住んでいるのに地球のことを知らないのはどうなのか」という動機から、地学が好きになり、大学も地学受験で入りました。
幼い頃、気象予報士の木原さん、森田さんにお会いしたこともあり、目指してみようと思いました。カミナリが苦手過ぎてなんとかしたいというのもありました。(笑)

 

★結果
第53回は学科一般のみ合格、第54回は不合格、第55回は学科専門と実技に合格しました。

 

★勉強方法
市販の参考書を中心に勉強しました。

学科一般は、参考書と合わせて、バイブルと呼ばれている「一般気象学」を読みましょう。過去問を見ると同じ図がそっくりそのまま出ていることもあります。ポイントは、数式に深入りしないこと。理系学問本なので、やたら微分だの数式を使ってつらつらと証明していますが、気象予報士試験では証明問題は出ませんので、因果関係を押さえておけば十分です。

 

学科専門は曲者です。個人的には実技より難しかったです。参考書は何度も読んだし過去問も解きましたが、本番で点が取れません。理由は、物理としての一般気象学はそう変わらないのですが、専門の内容は次々と変わり、参考書が古いまま追いつかないからです。例えば第54回では参考書にない表面雨量指数や高温注意情報が出題されたし、第55回では、台風の予報期間を参考書どおりに回答したのに、その後変更されていたため間違えました。もちろんそこは気象庁HPで新着情報を補う必要があるのですが、期間が長いうえ量も多く非効率であり、最後まで勉強の仕方に悩みました。幸い、台風は、一度熱帯低気圧になった後にまた台風になった場合に同じ番号を使用するかの肢で多くの方が間違えたようで、合格点が下がって救われました。市販は古い参考書ばかりですが、少しでも新しい参考書を強くおすすめします。

 

実技は、まずは参考書で一通り学習し、あとは慣れていきます。天気図を見て身構えてしまうようだとダメです。「あ、はいはい、500hPaね。」くらいの気持ちになることが必要です。最初は何が書いてあるか読み取れなくても構いません。ぼーっと眺めて何が書いてあるんだろう程度で良いので、ひたすら眺めましょう。なんかここが密だなー、急カーブしているなーと思ったら他の天気図を見て関係性を見て行きます。問題を解くのはまだまだ先です。
問題を解きたいと思っても、いきなり解けません。まずは「めざてん」サイトで実技の過去問ページを見ていきます。問題と解き方が交互に掲載されていて、どのような視点で解くかが分かってきます。ある程度読むと、問題文に忠実に回答すれば良いことが分かります。例えば、寒冷渦があったとして、高度場について回答せよとあれば低圧部となるし、温度場について回答せよとあれば寒気核となり、どちらも寒冷渦ではありません。高度場と温度場に着目して回答せよとあって初めて寒冷渦と書けるわけです。
このようなポイントを掴んだら、実際に解いていきます。次に当たる壁は時間です。テンポ良く解く練習をします。最後まで行かないと合格は難しいです。参考書は冊子になっているのでペラペラめくりながら解いていると思いますが、本番は天気図にミシン目があり切り離せるようになっています。そのため、試験が始まると一斉にビリビリと音がします。一見ビリビリすると使い勝手が良さそうですが、ビリビリに時間がかかるし、天気図の順番も問題を解いているうちにぐちゃぐちゃになって探すのに時間がかかります。むしろ切り取らず、順番通りに並んだ天気図の方が使い勝手が良いです。第54回の後、皆がビリビリしている間に問1の穴埋めを解いちゃったとツイートしている方がいましたが、まさしくその通りだと思います。時間との勝負です。穴埋めはすらすら全問正解を目指します。
答案は下書きして書く時間なんてありません。どんどん書いていきます。後から書き足したければ{を使って挿入すれば良いです。もとから字数かっちりの試験ではありません。短くてもどんどん書いて次へいきます。そのため、回答を問題用紙にメモしていないし、そんな時間もないし、吟味もしていないので、試験後に再現できず、皆さんよく再現できるなと感心しています。そのくらい時間をまかないと足りないということです。問題文で聞かれたことだけ答えましょう。また、今回は色鉛筆も使わなかったし、トレーシングペーパーも実技1、2合わせて1回しか使わなかったので、時短できました。

 

★さいごに
大体どのサイトでも、合格者は「ちゃんと勉強すれば誰でも必ず取れる資格」と言っていますが、私は少数派で、そうは思いません。10回以上落ち続けている人もいます。そういう人に対し、ちゃんと勉強していないかというと、そういう人もいますが、ちゃんと勉強している人もいます。過去問も問題集もやりこなしたのに合格できない人もたくさんいます。そういう人達はパターンで覚えるので、最近の傾向には追い付けていない気がします。
私は今回勉強するにあたり、空の雲を眺めて十種雲形のどれか、氷粒か水粒かを見ていました。高さ別に雲の流れる方向が異なったり、積雲と層雲の移り変わり中でどっちになるだろうか、高さはどうか、きっちり分類できる方が稀かもしれません。試験では衛星画像から判断できれば良いのですが、予報士はよく空を見上げています。参考書だけでは合格は難しく、最新情報にリバイスすること、時間の使い方をマスターすることが必要です。そのためには、大局をつかむのが必要であり、細かい部分よりもまずは天気図を見て、空を見て、身構えることがなくお友達になれたら、合格が近づくのではないかと思います。あ、エマグラムもね。最近は局地災害も多く、典型的な前面で暖気移流上昇流、後面で寒気移流下降流のような問題が少なくなり、むしろその時の天気図に書かれていることを問題文の視点で落とし込めるかが大事になっています。ぜひ読み取る力をつけていただけたらと思います。

 

 

 

 

 

 

 

趣味でこれから気象予報士試験の勉強をはじめる方へ

第55回気象予報士試験に合格しました!

これから受ける方にアドバイスできたらと思います。

今回は受けようか迷っている方向けです。

 

まず、多くの合格者サイトに書かれている「ちゃんと勉強すれば誰でも合格できる」の文言は信用してはいけません。

10回以上受けても合格できない方もいます。ちゃんと勉強していないからと思うかもしれないし、確かにそういう人もいますが、ちゃんと勉強している人もいます。

容易な言葉に騙されて軽く考えない方が良いです。

 

さて、気象予報士試験を受けようか迷っている人におすすめの一冊があります。

ブルーバックスの「気象学入門」です。

気象予報士試験は一般、専門、実技とありますが、本書はどの入門部分にも触れているので全体像を捕らえるのに最適です。

入門と言えども、テレビの天気予報よりははるかに上で、試験に向けても無駄が無いです。そのうえ、中学理科の知識があれば読めるようにした本なので、この一冊を読んで、更に興味が湧けば気象予報士試験を受けるべく本格的な勉強をすれば良いと思いますし、興味が湧かなくても役に立つ良書だと思います。

図書館でも借りられると思いますので、勉強するかどうかの判断材料にすると良いと思います。

 

読んでみて試験を受けようと思ったら、一般、専門、実技と細かい部分に入っていきます。

参考書は他に比較サイトがありますので、検索してそちらを見ていただければと思います。

それぞれの勉強方法は次の合格体験記に書きます。